軍ファシズム運動史
軍ファシズム運動史―3月事件から2・26後まで (1962年)
- 作者: 秦郁彦
- 出版社/メーカー: 河出書房新社
- 発売日: 1962
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処女作『日中戦争史』に続く、秦郁彦氏の2作目の著作にして、博士論文。「軍ファシズム」というのは昔に流行った言い方らしく、日本のファシズムを西洋とは異なる特殊なものとした上で天皇制ファシズムと軍ファシズムに分類したものらしい*1。まぁ、つまり旧日本軍の活動をまとめたもの。大学時代、著者の指導教授は丸山眞男であったらしく、彼の影響が随所に散見される。
とりあえず著者いわく、昭和のファシズム運動において派閥抗争は見逃すことの出来ない要素であるという事らしく、陸軍、海軍、政府、民間のさまざまな派閥が対立していくなかで、ロンドン海軍軍縮条約における統帥権干犯問題から三月事件、十月事件、士官学校事件、相沢事件と続き、二・二六に至る道筋を描き出していく。まぁ、資料が豊富に付属しているということもあり、とりあえず事件の概要を俯瞰するのには適切な資料であろうと思われる。
*1:もっとも、現在はそういう言い方をしない