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『キリスト教神学入門』 A・E・マクグラス 第一部第一章

キリスト教神学入門

キリスト教神学入門

分厚い本なので読み終えられるか分からないし、読みながら少しずつ感想を書いていく事にする。初心者が勉強中ということなので、間違いに気づいた方がいらっしゃったらコメントでもなんでも教えていただけると幸いです。

第一章 教父時代

第一章(~57頁)は、いわゆる<教父時代>と呼ばれた、キリスト教初期の神学について、簡単に解説がされていた。

いわく、キリスト教初期はローマを含め異教徒からの弾圧などが多かったことから、神学論争はそれほど発展せず、キリスト教徒たちは自己の信仰の正統性を相手に納得させる必要があった。それゆえ、弁証学が発達したのだ、ということらしい。

第一章の問題と(自分の)解答

  1. アレイオス論争における主要な問題は何か。なぜアレイオスの敵対者たちは、それがそれほどに重要であると考えたのか。

    アレイオス論争における主要な問題は、キリストの神性について。アレイオスは、聖書に書かれているキリストに対する称号は寓喩的なものにしか過ぎず、キリストの神性は父なる神の神性より小さく、神の被造物の中で優れたものに過ぎないと主張した。しかしこれではキリストが「罪に堕ちた人類を贖う」という神のみに許された行為が出来ないことになり、救済論的に不適切である。また、教会はこれまでキリストを崇拝してきたのであるから、神以外の被造物を崇拝していたと言うことにも繋がり、教会自体を偶像崇拝の場に貶めるものである。
     
  2.  固定された信条*1の導入が好ましい発展として教会の多くから広く受け入れられたのはどうしてか。

    グノーシス主義などの異端が発生するのを防ぐために、信仰の基準となる伝統的聖書解釈を明らかにする必要があったから。また、改宗者の信仰告白など、公の機会に用いるキリスト教信仰の便利な要約も求められていたから。

  3. どうして聖書正典についての合意に達することが重要なのか。このことは、当時の神学論争において、どのような実際的相違を生み出したであろうか。

    西方教会東方教会だけでなく教会ごとにも正典範囲が異なっている状況では、お互いに依拠するものが異なるということになり、神学論争が成り立たないという事態を生んでしまうため。
     
  4. 英国の歴史家トマス・カーライルはかつて、歴史は基本的には偉大な個人の伝記であると言ったが、この章を読んでみて、この時代におけるキリスト教神学の形成に最も重要であるとあなたが考えるのは誰か。

    後に主として西方教会における神学にアウグスティヌスが絶大な影響を与えた事は言うまでもないが、アレイオス論争で活躍し、東方教会西方教会両者にとっって重要な問題である三位一体論につながるキリストの神性論の先鞭をつけたアタナシオスが最も重要であると考える。
     
  5. この初期の時代において教会論に比較的小さな関心しか寄せられなかったのは、なぜか。またドナティスト論争が東方ではなくて西方教会において起こったのは何故だと考えるか。

    初期の時代にはキリスト教徒が国家的にも容認されておらず弾圧を被ることが多かったため、信仰の正統性を擁護するための弁証学が主として発展し、組織としての教会論はあまり発展しなかった。このような事情はドナティスト論争にも影響しており、特にローマからの弾圧が厳しかった、西方教会の領内である北アフリカ沿岸では、弾圧に屈した人びとは生徒の集まりである教会から排除されるべきであると主張するドナトゥス主義が盛んに主張された。